【感想】杉森建の仕事 『クインティ』から『ジェリーボーイ』『ポケットモンスター』 25年間の作品集を読む。【レビュー】

「杉森建の仕事 『クインティ』から『ジェリーボーイ』『ポケットモンスター』 25年間の作品集」ニンテンドードリーム編集部 (編集), 杉森 建 (イラスト)。「ポケモン赤緑」「クインティ」など杉森健さんが担当したゲームのイラストが描かれた表紙。※このページで引用している画像は全て本書からのものです。

「杉森建の仕事」を買ってきました。

元々ポケモンのイラスト集かなにかかなと思ってネットで購入したものです。しかしいざ読んでみたらポケモンのイラストはそう多くはなく若干がっかりしたんですが、杉森建さんに対するインタビューページの見所が多かったので興味深く読みました。

ということでこの本のレビューや感想を書きたいと思います。

感想&レビュー

目次

画像を見て分かる通り、「クインティ」や「ポケモン」「ジェリーボーイ」などゲーム作品に関するイラストやその他の細々とした仕事に関しても記事が組まれています。

…が僕の興味は先ほど言った通りインタビューページにあります。

影響

インタビューページでは様々なことが杉森さんに質問されていました。
その中で個人的に気になったもの(ごく一部)を引用し、感想を書きます。

まずは杉森さんが影響を受けた漫画家について。

―――あの頃、マンガを描くにあたって直接的に影響を受けていたものってありますか?

杉森 そうですね……ゆうきまさみ先生とか、ちょっとアニメっぽい絵でラブコメ的なものを描くのが流行っていたんですよ。とくに「週刊少年サンデー」は、そういった作品の主戦場でしたから、まあ、応募するならここかな?みたいな感じで。

―――それはやっぱり、自分の好みに合うものがいちばんだと。

杉森 『うる星やつら』(註1)なんかも大好きだったので、ああいった感じの作品が描きたかったんでしょうね。

※文字の着色は筆者<このブログの管理人>によるもので、原文に着色はありません
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「ゆうきまさみ先生の名前が出てくるのは嬉しかったです。

個人的には小学生の頃「じゃじゃ馬グルーミンup」という作品を読んでいて(※)、その作品がすごく好きだったので
「おおっ、杉森先生もゆうき先生の作品を…」
と思いました。

(※)「じゃじゃ馬グルーミンUP!」1巻を懐かしみながら読む。【感想/レビュー】

ただ文脈を見るに、直接的な影響を受けたのは高橋留美子先生の方なのかなとも感じます。
うる星やつらはリアルタイムで読んでいないので(ラムちゃんとかキャラクターは知ってるんですが)どういう漫画なのかは意外とわかっていなかったりします。

世代の人は
「あー確かに杉森建の絵は高橋留美子の影響を受けてるよなあ」
と感じるんでしょうか。

それが実感できなかったのが若干歯がゆいですね。ただ杉森さんのルーツを知ることができたのはちょっと面白かったです。

ポケモンのイラストについて

続いてはポケモンのイラストについて。
杉森さんが実際にどれくらい本編のイラストに関わってるのかがわかる興味深い記事でした。↓

―――『ポケモン 赤・緑』の頃から、社内で絵が描ける人はみんなキャラを描いて、最終的に杉森さんが統一する、みたいなやり方をされてましたよね?

杉森  いまほどじゃないですけどね。ドットは、 ほぼいじっていないのとかもあるので(後略)



―――最初に公式イラストが必要になったのって、 何のためだったんでしょう?

杉森 『ポケモン 赤・緑』の最初の攻略本で、 アスペクトから出た『ポケットモンスター図鑑』 に全ポケモンのイラストを掲載したいと言われて描いたのが最初ですね。でもその段階ではポケモンの原画ってドット絵しか存在しなかったので、そのドット絵から全部自分の絵として描き起こしていったんです。ちょっと気にくわないところは修正したりして(笑)。それで全部自分のキャラクターらしくしたのが、以後、僕がすべてのポケモンのテイストを統一させるようになったきっかけですね。

※文字の着色は筆者<このブログの管理人>によるもので、原文に着色はありません
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「ポケットモンスター図鑑」!

めちゃくちゃ懐かしいですね。
小学生当時間違いなく持ってました。この表紙今でもはっきり覚えています。

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何度も読み込んで内部のホチキス的なものが外れちゃって、最終的にはほとんどバラバラになっちゃったのも覚えています。そしてそれをセロハンテープで修復して…と、そんなことを繰り返しながら攻略情報や杉森さんのイラストを眺めたりして楽しんでいました。

あの頃は簡単に定価で手に入った本ですが今ではめちゃくちゃプレミアが付いちゃってるみたいですね。懐かしくなってネット通販で買おうかなと思ったんですが、やっぱやめとこうかなと思うような相場です。


…閑話休題。


ちょっと話が逸れました。杉森さんがどれだけ本編イラストに関わってるかということですが杉森さん以外にアイデアを出してる人がいるんですね。

それを最終的に杉森さんが自分の絵にしてリアレンジする。
その作業を終えてポケモン全体のデザインが統一化される。

そういう流れでやっているというのを知ってなるほどと思いました。ただ一方で不謹慎な話かもしれませんがもし杉森さんに何かがあった時めちゃくちゃ大変だなあと思います。

そういえば最近ドラクエの作曲家すぎやまこういちさんが亡くなられましたが、最新作の BGM って一体どうするんだろうと考えていたところなのでそういう疑問がわいてしまいました。

これからもできるだけ健康に長生きしていただいてまた素晴らしいイラストを次々垣間見せていただきたいと強く思っています。

ということでインタビューページの感想は以上です。

懐かしい絵柄

さて最後はこちらの懐かしい絵柄を見て終わりましょう。

最近の杉森さんの絵とはちょっと違う赤緑時代の絵を彷彿とさせるイラストです。

これは97年頃に架空のゲームタイトルをイメージして書かれたイラストらしいんですが、まんまポケモンぽい雰囲気が出てて好きです。もしこの世界に現実とよく似た別のパラレルワールドがあったとしたらその世界ではこんなポケモンがプレイされてるのかもしれない。

そんな妄想を掻き立てられるようなイラストです。

この絵の根っこに高橋留美子先生の遺伝子が根付いているんだろうか。などと途方もなく妄想が広がりそうなのでこの辺で閉じたいと思います。

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