岩泉舞先生の昔の作品(+新作1)が収録された「 MY LITTLE PLANET」を懐かしみながら読む。【感想/レビュー】

↑「岩泉舞作品集 MY LITTLE PLANET」 (小学館クリエイティブ単行本)(作・岩泉舞)※このページで引用している画像は全て本書からのものです

「完全版が出てたのか!」

と知ってウキウキ気分で購入しました。あの岩泉舞先生の短編集です。(今回は「MY LITTLE PLANET」と書かれてますがこれが新しいメインタイトル?)

僕が一番大好きなあの作品(※後述)も載ってるし、単行本未収録で今では超入手困難なあの作品も載ってる&新作も載ってるしで買ってよかったなと思ってます。

ということで本書の一部を引用しつつ感想を書きたいと思います。

感想&レビュー

ノスタルジー感あふれる「七つの海」

「七つの海」の序盤

この作品が一番好きなんですよ…。

岩泉舞先生の作品の中でこれがベストなんです。少年時代に青春を満足に送れなかったおじいさんが子供の姿で現れて孫と戯れるというストーリーの短編。

これの何がいいってラストシーン周辺がすごくいいんですよね。

ある「別れ」が描かれてるんですがそのシーンの描き方が丁寧で漫画なのにアニメか映画を見ているような気分になるんですよ。今までグッとくる別れとか切ない別れみたいなシーンをたくさんの漫画で見てきましたが、その中でもトップクラスに良い。

今回は完全版ということもあって、冒頭のページがカラーで再現されているのも良かったです。

懐かしい中世ファンタジー「KING」

↑90年代のファンタジーRPGを思わせるような世界観の作品「KING」

そして今回、約30年前に出版されたオリジナル版の岩泉舞作品集では収録されていなかった作品 「KING」も載っています。

もちろん初見だったんですが、この作品は不意打ちでしたねー。すごく良かったです。

この画像だけを見ているとよくあるイケメン主人公のお話みたいな感じですが、この主人公・関西弁のちょっととぼけたキャラでなかなか愛嬌がありました。

そしてキャラの魅力もさながら世界観もすごく良かった。僕たち日本人がイメージする中世ファンタジーの世界観…ちょうど90年代によくも悪くも乱発された(その世界観が僕はすごく好きだった)ファイナルファンタジー的な世界観なんですね。

※画像を見ても分かると思いますけど「魔法」が普通に存在しています。こういう部分もそう感じました。

懐かしさも感じられましたし、かつこの漫画もやっぱりラストシーンが素晴らしかった。あーだからこのタイトルをつけたんだなと妙に納得してしまい作者さんのセンスに改めて感心しました。

そして最後に紹介するのは、ある意味今回一番衝撃を受けた作品です。↓


完全新作~色褪せない天才的なセンス~

↑完全新作「MY LITTLE PLANET」

なんと完全新作です!

しかも昔のセンスそのままで絵だけめちゃくちゃ上手くなってる…。いや元から絵はめちゃくちゃうまかったと思うんですがさらに磨きがかかってます。

何て言うか最新の絵になってるよ、っていう感動。

そしてそれ以上に感動したのはお話がやっぱり面白かったっていうこと。昔から思ってたんですがこの人は伏線をそれとなく散りばめて丁寧に回収していくのがめちゃくちゃうまいですね。

その(天才的な)センスが現在でも衰えていなかったことが奇跡だと思います。

あと1つ気になったのは…上の画像を見てわかる通り今回もゲームを題材にしています。

「今回も」ってどういうこと?

……と思うかもしれませんがそれは下の画像を見れば分かります。↓

「七つの海」の別のシーン

そう 、 先ほど紹介した「七つの海」も実はゲームを題材にした作品でした。

作者さんはゲーム好きなのかなあなどと考えてしまいます。そういえば余談ですが小説家の宮部みゆき先生もRPGが好きだとか聞いたことがあるのですが作家さんはゲーム好きな人が多いんでしょうか。

……などと様々な思いにかられつつ止めどなくなってきましたのでこの辺で筆を置きたいと思います。

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