伝説の「ヤエちゃん×スキヤキ回」が収録されたがんばれゴエモンきらきら道中1巻(帯ひろ志)を読む。【感想/レビュー】
「きらきら道中」の1巻です。
今まで帯ひろ志先生の「がんばれゴエモンシリーズのレビュー」をたくさん書いてきました。
そしてとうとうこの巻のレビューをする時が来ました。
そう。
あの伝説の、いや僕が勝手に伝説だと思い込んでいる、「スキヤキ回」が登場するのがこの巻です。
「スキヤキ回って何?」
という貴兄のためにも、詳細にレビューさせていただきたいと存じております。
感想&レビュー
突入
さてまずはこちらのシーンを見ていただきましょう。
そうです。
ヤエちゃんがお金に困って、バイト的なものを探しているシーンです。
ある地点からある地点へ行くための通行料が欲しい。しかしその通行料は1億。そんな大金があるわけがない。
それならば…。
「一億のバイト代をくれる」という、あの店に行くしかない。
そう決断した若きくノ一ヤエが、生唾を飲みながらうやうやしく店の中に入るシーンです。ヤエちゃんの心象風景を具現化したような真っ暗な背景の3コマ目。
「特に何事もなく無事でいてくれ」
当時読者だった僕はそう心配していました。
しかし扉を開けるやいなや…。↓
尋常じゃないほどじろじろ見られます。
尋常という領域を遥か越えた眼力です。
コミックボンボン史上、類を見ない熱視線。
「なかなかのルックスとスタイルだ」
この言葉が意味するのは彼女が第一次審査を通過したことと同義なのです。
この怪しげな黒頭巾を満足させる方法とはいったい…。
伝説爆誕
もちろんこれ↑はヤエちゃんの妄想です。
もしかしてこんなことを黒頭巾にされちゃうかも―――そんな不安が呼び寄せたイマジネーションです。ですから実際にはこんなことはされていないのですが、しかし…。
もう絵になってる時点で、我々読者としては
「もうされてんのと一緒だよ」
という感想を抱くシーンです。
少なくとも当時小学校高学年だった僕は、「ヤヤヤヤヤエちゃんがこんなことに!!」と絶叫していました。
そうです。声変わりを控えた喉が瓦解してしまうほど、雄たけびが闇夜をつんざいたのです。
…ってあれ!?ちょっと待って…
こんなシーン↑あったっけ?
むしろヤエちゃんが攻めてんじゃん。
いや冷静に考えればこんなシーンあったような気もしなくもないけど、まさか聖闘士聖衣(セイントクロス)を纏うなんて…。
少年漫画らしいにもほどがあるじゃん。
鞭を振るう自分の姿に赤面し白昼夢から醒めたはいいけど、右下のコマ小竜太みたいな顔になってんじゃん。(※)
(※小竜太とは…→懐かしのコリュウタとゆき姫が再登場し、物語に絡む/がんばれゴエモンネオ桃山幕府のおどり(帯ひろ志)【感想&レビュー】)
などと気持ち悪いツッコミを入れながら漫画を読み進めると、いつのまにかヤエちゃんは頭巾を満足させることに成功していました。
そうです。
「ただ単にすき焼きの材料を買ってくる」。
それで頭巾男は満足してくれたのです。
そして…。
すき焼きの材料を買ってきたら…
これでバイト代1億がもらえる。
そんな輝かしい未来に向かって一歩を踏み出そうとした若き乙女に最後の試練。
「恥ずかしかっただろ!?」
理解不能な詰問(きつもん)を繰り広げる黒頭巾。
いい加減ヤエちゃんを解放してくれ―――我々読者の懇願もむなしく、黒頭巾の目は充血していく。そしてアンハッピネスなことに!
なんと謎すぎる問いに答えを見い出せないヤエちゃんは現代人も陥る最も最悪な答えを出してしまいました。
それは…。
迎合。
他者への迎合です。
「ちょっとだけ恥ずかしかったような……」
と言う間違った対応。
おそらく黒頭巾は自分を受け入れてもらえたと思い込み今後彼女が死ぬまでその影を追い続けることでしょう。
その恐怖に震えつつレビューを閉じたいと思います。
【24年2月1追記】過去のゴエモンシリーズが電子書籍化されました!
今まで帯ひろ志先生のマンガ版ゴエモンは長らく「ゆき姫救出絵巻」以外は電子化されていませんでしたが、(このページでレビューしている「がんばれゴエモンきらきら道中1巻」を含め)過去のマンガ版ゴエモンがkindleで配信されるようになりました。
kindle版(リンク)
新品価格 |
※追記・DMMブックスでも配信されるようになったようです。
DMMブックス(リンク)