桂正和先生の「I”s<アイズ> 」1巻を懐かしみながら読む。【感想/レビュー】
桂正和先生の「I”s<アイズ> 」です。
この漫画はとんでもない画力もさることながら、「90年代のラブコメあるある」が炸裂したことで有名です。(僕の中で)
妄想過多な思春期の少年が主人公ということもあり、当時の読者層の共感を狙っていたのかもしれません。などとまじめに語っちゃってますが、要はサービスカットが要所要所にカットインする素晴らしいマンガだということです。
…ということで今日はこの素晴らしき漫画、「アイズ」第1巻を懐かしみながら読んでいきます。
感想&レビュー
90年代ラブコメあるある①~『僕』に積極的な『君』~
さて、90年代ラブコメあるあるの①です。
「ヒロインが自分(主人公)に勝手にアプローチしてくれる」的な妄想シーンです。
こういうシーンありましたね。懐かしい。
じゃじゃ馬グルーミンアップのレビューの時(※)にも「こういうシーンあるよね」的な感じで、画像を引用しつつ当該シーンを紹介したことがありました。
(※→「じゃじゃ馬グルーミンUP!」1巻を懐かしみながら読む。【感想/レビュー】)
当時はこういうシーンを絶対入れといてくれ的な密約が作家さんと編集者さんの間にあったのでしょうか。
それとも作家さん本人が、
「自分も(主人公と同じような年の頃)こういう妄想してたっけなあ」
みたいな気持ちでなんとなく入れているのか。
真実は定かではありませんが、とにかく「実際の『伊織ちゃん』(ヒロイン)なら間違いなく口にしない言葉」を絶妙にチョイスしているのがいいですね。
「あくまでもこれはイチタカの頭の中の世界」というのがはっきり伝わります。
「気になってるでしょ?」
ってわざわざ自分から話を切り出すところなんかも強引ですし。笑
それと、こんなシーンも…↓
ほかにもイチタカの妄想シーンがありました。「伊織ちゃんが自分だけの被写体になってくれる」という妄想を抱いてます。
ここでも「『僕』に積極的な『君』」的なあるあるが発動してますね。まんま前回と同じパターンです。(※というか時系列的にはむしろこっちのシーンのほうが今巻の序盤に出てくるんですが…)
ところで今気づいたんですが、
「特別よ♡」
とか、
「瀬戸くんには特別……」
とか、「特別」ってキーワードが目立ちますね。これらのシーンの前に引用したシーンでも、
「瀬戸くんは……
……特別だから……」
ってほぼ同じことを言ってますし。
つまりこの漫画は「『僕』に積極的な『君』」ってパターン(妄想)が頻出しつつ、そのうえで「ヒロインが主人公を特別扱いする」っていう要素も加わってるんですね。
扉を開けたら…
90年代ラブコメあるあるの②。
「脱衣所でバッタリ」パターンです。
このパターンもさきほど紹介した「じゃじゃ馬グルーミン~」の1巻でありましたし、「魔女っ娘ビビアン」の4巻にもありました。(※)
(※→「魔女娘ビビアン」4巻(最終巻)を読む。【感想/レビュー】※ネタバレ注意)
子どもの頃はヒロインに視点が言ってましたけど、いま改めて見てみるとそれを目撃した男の子のリアクションが気になりますね。たいてい、画像のように固まったりどぎまぎしたり…「困惑」するパターンが多いことに気づきます。
もう少し昔のマンガだと、同じようなシーンでもわりと
「ラッキー!」
みたいなリアクションを男の子がとるのも珍しくない印象ですが…
もう僕らの世代(1980年代中盤生まれ)くらいから「草食化」が始まっていたのかもしれません。
「妄想の世界ではこういうことを考えていても、いざほんとにそんな状況になったら困惑してしまう」―――そんな男の子(主人公)に共感しながらラブコメを読んでいたわけですから。
おわりに~通常時が一番かわいい~
さて、そろそろ「アイズ」1巻の感想もおしまいです。最後はこちらのシーンを眺めましょう。
3段分コマをぶち抜いて笑顔で語りかける伊織ちゃんです。妄想に登場する伊織ちゃんよりもある意味こっちのほうがナチュラルでいいかもしれません。
妄想に出てくるほうは尋常じゃないほど積極的ですが、「リアル伊織」はイチタカがそっけない態度をとると不安になってしまうほど繊細…この辺の「現実にギリいそうな性格のヒロイン」感がかわいいと思います。
(※ただしビジュアルは3次元ではありえないほど整っていますが…)
ところでビジュアルに関していうと、桂正和先生の作品に出てくる女の子はリアルと2次元の中間みたいでいいですね。
普通はリアル寄りになりすぎたり、デフォルメがかり過ぎたりすることがあります。もちろんそういう絵柄も素晴らしいものがたくさんあるんですが、この中間のグラを保ったまま描くのもすごい才能だなと感心します。
…などと語りつくしたところで、以上です。
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