ジャンプからマンガ内広告が無くなった理由について/ぬ~べ~文庫版1巻の作者インタビュー感想

「地獄先生ぬ~べ~」・文庫版1巻(原作・真倉翔/漫画・岡野剛)(集英社) ※このページで引用している画像はすべて本書のものです。



ジャンプって昔マンガ内に広告あったよね?

あれってなんで無くなったの?

という永遠の神秘を解き明かしてくれる魔本。

それが地獄先生ぬ~べ~・文庫版1巻です。

この本の中で作者の方々が連載当時の裏話を語ってくれていたので、懐かしみながらレビューします。

1/2広告が本誌から消えた理由

作者陣がマンガ内のキャラ・ぬーべー(鵺野鳴介)と対談しながら裏話を語るページ↑で、『それ』は明かされました。

以下、文章は上の画像より引用

 鵺   #9は有名な「トイレの花子さん」ですが、読者の反響は?

翔    わりとよかったね。

~中略~

鵺    ところでこの回には広告に関してひともんちゃくあったとか。

剛  ああ、1/2広告の件ね。本編中にページの下半分だけ広告が入るときがあるでしょう?

あれって左ページでなけりゃいけないっていう暗黙のルールがあるんです。でないと目立たないから。でも僕はそれを知らずに、右のページに入れちゃって…。(204ページの下段です)

ふむふむ、204ページの下段ね…。

確認してみましょう。

…このページだな!?↓

↑(トイレの花子さんが潜む)夜の学校のトイレに突入する郷子。おそらくジャンプ本誌では一番下のでかいコマが(元々は)広告スペースだったんでしょう。

確かにこのコマは右ページに描かれています。

マンガ内の目立つ位置に広告スペースを置かなきゃいけない(という暗黙のルールがある)のに、目立たないとされている右ページに描いてしまった。
これが「ひともんちゃく」あったということらしいです。

※ちなみにこの足されたコマによってトイレの全体像が見えるようになって読みやすくなっているので、コミックス版の方がこのシーンはわかりやすい気がします。

そして…。


※ここから再び、先ほどのインタビュー記事画像から引用↓

剛 しかもあとで別の漫画家さんが同じ間違いをしたのね。

〜中略〜

で、余計なトラブルの元になるからって、週刊少年ジャンプでは1/2や1/3の広告は無くなったんです。

ということでジャンプのマンガ内広告の消滅の口火を切ったのはぬ~べ~だったという話でした。

漫画の最中に突然広告のコマが入るのは作品の芸術性が損なわれるのでは的な、アーティスティックな説が有力かと思いきや真相は全然別のところにありました。

単純にミスっただけかい!

…しかしなかなか意外なエピソードで面白かったです。

「広告」の思い出

広告といえば当時リアルタイムでジャンプを読んでいた時の楽しみは、ボンボン坂高校でした。

「えっ、なんでボンボン坂と広告が関係あるの?」

と思うでしょう。思うでしょうが…ボンボン坂は、コミックスを出した際に、本誌で広告が掲載されていたスペースに楽しい悪ふざけ(?)をしてくれていたんですよね。

いわば広告のパロディというか。

絶対こんな商品存在しないだろ!

とツッコミを入れたくなるような架空の商品が載ってたりとやりたい放題な感じでした(もちろん徹底的にふざけて書いているので、まじめにその商品が存在すると信じた人はいなかったでしょうからクレーム的なモノは多分なかったはずです)。

他の漫画家の人も、四苦八苦しながら広告が存在していたコマを埋め合わせていて、そういった部分(本誌とコミックスの違い)を見つけるのは当時のひそかな楽しみでもありました。

ぬ~べ~の裏話を読んでそういったことを思い出しましたが…

当の本人たち(作者さんたち)は様々な事情も考慮しながらやっていたんだなと知り、感慨深いものがありました。

※ちなみに「がってん太助」の1巻にもそれらしきスペースがあり、以前ちょっとだけ触れました
(→「がってん太助(1)」を入手したので幼少期の思い出を懐かしみつつ読む。【感想&レビュー】)

さて最後はほかの裏話に関する余談で締めたいと思います。

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●余談

ぬ~べ~の文庫版は1巻だけじゃなく2巻以降も裏話が豊富です。

「アンケートでめちゃくちゃ評判が悪かった回」とか、「もともとぬ~べ~の漫画を描くきっかけはあるビデオを見せられてからだ」とかぶっちゃけがすごいです。

ただ、全体的にはあくまでもコアなファン向けかなと思います。

(おそらく、そういう人でなければアンケートの結果とかはさほど興味がわかないと思いますので。)

※個人的にはライバルの玉藻が、やはりアンケートで票が取れなくて10巻くらい再登場が見送られた話なんかは意外で良かったです。中期〜後期のどメインキャラが序盤はかなり不遇の扱いだった理由は興味深かった。

以上、感想でした。