電影少女についてわかった新事実~ジャンプ流「桂正和」編の感想【レビュー】
僕が小学生の頃、「電影少女」という漫画がありました。
その漫画は、今まで「コロコロコミック」しか読んでいなかった僕に大人の世界を垣間見せてくれたマンガです。
あまりにもリアルな描写で描かれた人物像は、ポップで分かりやすく描かれたコロコロのキャラメイクとは一線を画していました(コロコロも好きだったけど)。
そんな思い出深い漫画の作者である桂正和さんが、「電影少女」や「I”s」に対してどんな思いで、どんなやり方でストーリーを作っていたのかが載っているインタビューを見つけました。
「ジャンプ流 桂正和」という本の中にそのインタビューはあります。
今日はその感想記事を書きたいと思います。
※この記事は、以前(2016年)「ミラクルオブザ雑記帳」という別ブログで書いていたものをこちらにお引越しし、加筆・再編集したものです。
1.電影少女とアイズの違い
アイズ(I”s)では主人公だけが心の声を発する。
電影少女では主要登場人物のほとんどが心の声を発する。
これが2作品の大きな違いだということを初めて知りました。
アイズという作品はリアルな恋愛がテーマ。
なので現実世界同様、主役以外心の声を発さないというルールで描いてたらしいです。
いっぽう電影少女は…。
主人公以外もガンガン心の声を発しますよね。
読んだことがある人はわかると思いますけど、心の声同士でボクシングでもしてるみたい。
葛藤と葛藤のやりあいみたいな凄絶さです。
2作品は似て非なるものなんですね。
僕はどちらの作品も好きですけど、こうやって違いを知ってから読み比べるとまた改めて楽しめそうでワクワクしています。
そしてもっとびっくりしたのはこれ↓ですね。
2.電影少女はネームを切っていない
電影少女を書いてる時ネームを切っていなかったと。
画にたっぷり時間をかけたかったから、作画とほぼ同時進行でストーリーを考えたって話。
これはすごいなと思いました。
だってあのクオリティですから。
読んだことがある人はわかると思いますけど、毎話毎話どんでん返しの連続ですよ?
【主人公の願望がかなう!…と思いきや次のコマでふられる!…しかしそのあと…】
…みたいな。そんなのの連続なんですよ。
そんな巧みな裏切りを何度も繰り返しているのに、
『たいしてストーリーには時間かけてなかった』
って言ってるようなもんですから。
これは驚きました。
確かに20年以上前の作品とは思えないほど絵がきれいなので、
『絵に時間をかけてた』
ってのはわかります。
ただ作画と同時にストーリーまで考えてたってのはすごい。
というか週刊連載の作家さんって時間のやりくりうますぎでしょう。
※余談ですけど桂正和さん本人曰く、
『(ネームを切らずに)作画と話しづくりを同時進行でやるやり方』はこれから漫画家を目指す人は絶対マネしちゃいけない方法らしいです。
やはり王道のやり方ではないみたい。
ただ電影少女以降の作品はこのやり方でずっとやってるみたいです。
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おわりに
ということでこの辺で「ジャンプ流 桂正和」の感想はおしまいです。
正直に言って「電影少女」はかなり昔の漫画だったので、インタビュー記事を見つけるのは苦労するのかもと思っていましたが「これだ!」と思えるものが見つかってよかったです。
この本以外にも、「矢吹健太朗先生」との対談記事が載っている本もあるそうで、その本も入手したいと思っているんですがいつか手に入れて拝読したらまた感想を書きたいなあと感じています。
「ジャンプ」という雑誌の中で似たような位置づけにいた二人がどんな思いで自分の漫画を語るのか…。
ものすごく興味があるんです。
…ということでまた次の感想記事でお会いしましょう。