サトシとカスミのラブコメを懐かしむため、読む。~電撃ピカチュウ2巻(小野敏洋/おのとしひろ)【感想/レビュー】
「電撃ピカチュウ」。
僕は世の中に存在するポケットモンスターの漫画の中でこれが一番好きです。
小学生の時にはモロに影響されて、似たようなポケモンの漫画を描いていたくらい。
特に好きだったのはサトシとカスミのやりとり。
そこを中心に、本書のレビューというか感想を書いていきたいと思います。
Contents
レビュー&感想
電撃ピカチュウのカスミといえば…
さて。
本題に入る前に触れておかねばならないことがあります。まずこの作品・「電撃ピカチュウ」は、↑の画像で描かれているカスミとサトシ、タケシが冒険する漫画です。軽やかにモンスターボールを宙に浮かせカメラ目線を送るカスミが本編の主人公のような気がしますが、この元気娘はヒロイン的なキャラです。
そしてもう一つ触れておくべきこと。
それはやっぱりカスミの色んなシーンです。電撃ピカチュウを話題に出す際にこれだけは避けて通れません。
というか僕は当時「がんばれゴエモン」のヤエちゃんに関してはかなり記憶に残っているのですが、意外とカスミもそういう人気があったようです。
「そういう人気」とは、こういうシーン↓に対する人気です。
「むしろ電撃ピカチュウはこういうシーンがメインなんだ」
そんな貴兄(きけい)の雄叫びが聞こえてきそうな気もしますが僕はこういうのをメインで読んではいませんでした。
確かに、
「どへーーーっ」
というコミカルな叫びとともに飛沫を爆散させながら魅力的に描かれたカスミもいいと思います。突き刺さりそうなほど差し迫ってくる無数の集中線に彩られたところも文句なくよろしいでしょう。こういうシーンを賛美するのも全く問題ないとは思いますが、しかし僕が一番惹かれたのは次のようなシーンです。↓
サトシとカスミのラブコメ①
そう。
こういうシーンが好きで僕は電撃ピカチュウを読んでいました。
サトシとカスミはめちゃくちゃ仲がいいわけじゃない。何だったらちょっとつっけんどんな態度をとることもある。しかしお互いにディスりあっていくうちに、
「逆に親友なんじゃないか」
そう思わせるオーラが漂うことさえある。これが好きなんですよ。
僕が腐女子だったら尊い!尊い!と叫びながら大空へ羽ばたいてますよ。
でも僕は腐女子じゃないんで両翼をもぎ取ってうたたねするに至ってるわけですが、とにかくこういうシーンが好きなんですよね。この漫画の作者の小野先生は「ネコの王」でもそんなシーンを描いてますが、先生自身もこういうのを描くのが好きなんでしょうか。
サトシを気に掛けるカスミ
さて二人は普段ディスり合っていますが、時には上図のようにお互いを心配したりもしています。大事な相棒の失踪に動揺するサトシを「大丈夫かな」風眼差しでみつめるカスミ…。
…そう。
そうなんですよ。
だから言ってるじゃないですか。こういうシーンが好きだって。
こういうシーンが好きだから電撃ピカチュウを読み返してるんですよ。でもいい加減サトシ泣き過ぎじゃない?
逆に心配になってきた。ほとんど半身沈んでるじゃないですか。カスミの心配顔の意味はこの落涙量に関してだったのかなと思うほどです。
サトシとカスミのラブコメ②
他にこんなシーンもあります。また二人がイチャラブをキメています。
「かわいそうなサトシ。」
そう言いながら何度も頭部を撫で回すカスミ。彼女の優しさやその慈愛の精神には感服するばかりです。ピカチュウの鳴き声に反応しサトシが跳び立つ直前まで、純白な愛を補充してくれる天使…。
しかしその純情少女も時には違う方向へ風見鶏が向いてしまうこともあるのです。
これまで拝んできた二人の愛は僕の夢想だったのか?と思ってしまうシーン。それは以下に展開されます。
イーブイ回で年下になびくカスミ
なんでこんなことに…。
二人はいい感じだったのにそこに割って入ってきた美少年。イーブイとの絆に充足を感じていることを語る彼に対しそれとはまた別の充足感を感じている。
これがカスミの本性か…。
そう考えれば考えるほどこの漫画は三角関係という言葉の意味を当時児童だった僕らに教えてくれた気がします。
我々が生きるこの世界では常に万物が奇妙な関係性を築き上げています。その連なりの一部をここに垣間見ることできました。ありがとう、天よ。ありがとう、宇宙よ…。
そんな学びも得つつ、最後は「あいつ」との絡みを見ながらお別れと致しましょう。
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ちょっかい出すタケシ
二人にちょっかいを出すタケシです。
彼の存在も素晴らしい。
ただ二人がいちゃついてるだけでもそれはそれでいいんですが、理解ある第三者として俯瞰(ふかん)でものを眺める人間ーーーこれもまた美味たるものです。
さて、ここで先ほどの話が思い起こされます。
そうです。
我々はこの複雑な世界で生きている。森羅万象全てのものが重なり合って存在している。無駄なものなどひとつもない―――そのことが思い起こされるのです。
火があるから栗が茹で上がるように、タケシがいるから二人の顔が蒸気する。
全ての存在に感謝しつつレビューの幕を閉じたいと思います。