小野敏洋先生の漫画・「ネコの王」1巻を読む。【感想/レビュー】

「ネコの王」(1)作・小野敏洋(小学館/サンデーGX コミックス)。
当時中高生だった自分には買うのがためらわれる表紙
  ※このページの画像はすべて同書からの引用です


 

「ネコの王」を買ってきました。

小学生の頃「電撃ピカチュウ」や「バーコードファイター」を読むのが好きだったので、その前後の小野敏洋先生の作品にも興味があり、買った次第です。

ということで感想などを書きたいと思います。

感想&レビュー

主人公

↑「普通の少年」から「ネコの王」になってしまった主人公

主人公はごく普通の少年。

若干やんちゃなところもありつつもどこにでもいる男の子といった感じで、普通に日常生活を送っていたのですが、(上の画像のように)突然「ネコの王」に任命されてしまっていました。

「ていうかネコの王ってなに?」

って話だとは思いますが、その辺の細かい部分は徐々に明かされていくというちょっとミステリー的な構成になっています。

※先の画像内で主人公が「ど、どーなってんの?」と困惑しているのはそのためで彼自身もなにがなんだかわかっていないのです

謎が謎を呼ぶ長編ミステリー…というおどろおどろしい世界観が待ち受けているわけではないのですが、しかし少しづつ物語の核心に迫っていく感じがありなかなか先がどうなるかわからない感じがワクワクします。

ただ僕的にはさらに気になるシーンがありました…それは次のシーン。

主人公とヒロインとのやりとり①

↑クラス委員長の女の子(1コマ目)と、先ほどの少年(2コマ目、右)のほのぼの日常シーン ※少年は、普段は黒髪

そう。僕が気になるのは、
主人公とちょっと気の強い女の子が織りなす「喧嘩するほど仲がいい的なシーン」です。

作者の方が意識したのか分かりませんが、ちょっと電撃ピカチュウを彷彿とさせますね。以前電撃ピカチュウのレビューの時にも書いた、サトシとカスミのやり取りを想起させます。こういうシーン個人的に好きなんですよね。

むしろこういうシーンが好きで小野敏洋先生の漫画を読んでるまであります。

1コマ目、どアップで「主人公に対するあたりが強いキャラ」が登場。2コマ目で「主人公のほうも相手を快く思ってない感じ」を伝える。こういう漫画の描き方がすんなりできるのが先生のすごいところだなあと感じます。これだけで「なんだか二人の掛け合いが楽しみだ」と感じます。

そして別のシーンでもそれは発揮されます。

↑先ほどの女の子に無関心をキメられる主人公

今巻の後半、主人公が大活躍します。そしてその活躍ぶりを見てほしくて、その際の状況を録画したビデオを見せびらかす主人公。しかし向こうは全く興味がない―――そんなシーンです。

こういうキャラ同士の対比と言うか、「噛み合わなさ」みたいなものをほのぼのとした感じで描かれているのがやっぱり好きです。

「どーだ、見直したか。」と主人公。「したした」と委員長。二人のテンションの違いが表情や言い方ひとつに表れてますね。

あと話がそれるんですけどやっぱりテレビはブラウン管方式なんですよね。(※よく見るとテレビ画面のガラス?に凹凸が感じられるので)

こういう細かいところにも時代を感じられてなんだか面白いです。

主人公とヒロインとのやりとり②

↑幼なじみの女の子ともケンカしてしまい、機嫌をうかがいにいく主人公

この漫画はラブコメってわけじゃないんですけど、こういう「ラブコメ的」なシーンがまあまああるんですよね。

仲たがいする二人。機嫌を取るために男の子が何とか扉の前で「交渉」する。そしてようやく女の子が出てきても、ストレートに迎え入れることができない。

こういうシーンの時に主人公が素直じゃないってのがいいなあと思います。いかにも小学生男子って感じが出てて昔の自分を思い出します。こういう生意気なところがかつての自分にもあったはず…。

純粋な頃の自分を思い出し切ない気持ちになります。

ただ切ない気持ちになってる場合じゃないので、大人のお姉さん達でも見てみましょう。

おとなのおねえさん

主人公をネコの王に任命した張本人。
主人公をその胸に抱き留める

主人公の姉。やはり主人公に抱擁を繰り広げる

例えばの話ですが…。

電撃ピカチュウの連載がめちゃくちゃ長く続いてたらこういう大人のお姉さんがわんさか出てきたことでしょうね。

行くジム行くジムで大人のお姉さんが溢れ、大人のお姉さんの大洪水が起き、バッジもポケモンも全て飛散し、自我が崩壊した主人公が悟りを開く。「俺はポケモンマスターになりたいんじゃない。大人のお姉さんが好きなんだ」―――

そんな真実に気付きマルチエンディングを迎える。

そんなラストを最終巻で迎えたかもしれません。

まあさすがにそんなことにはならなかったでしょうが、作者の方の女性キャラを魅力的に描くこの技術と熱意させあればどんな異次元な展開やラブコメが起きても僕は受け入れます。

「インカちゃん」もぶっ飛んでたし……(※)

(※)→「小野敏洋(おのとしひろ)さんの時代を先取りしすぎた漫画・太陽の少女インカちゃんを読む。【感想&レビュー】

おわりに

↑主人公が真価を発揮するバトルシーン

僕があまりにも馬鹿なことを言っているので主人公に殴られてしまいました。

無論それはジョークとして、これはどんなシーンかと言えば主人公のバトルシーンです。

そうです。
そうでした。
この画像で思い出しました…この漫画ってバトル漫画なんです。いや日常系バトル漫画と言うか。

先ほど紹介した「太陽の少女インカちゃん」の時みたいに超カオス漫画ってわけではなく、「日常→バトル→日常」とメリハリがついている系の漫画です。(「インカちゃん」にも日常シーンはあるけどその日常すらカオスだったりする)

ちょうど昔読んでたあのマンガに近いのかな…。(電撃ピカチュウでやれなかったことをやりたいという思いで作者の方はこの漫画を描いたそうですが)ちょうど画像のようなメカっぽい形状のものが出てきたりもするので、読者の1人としては「バーコードバトラー」っぽいかもと感じます。

さて、そんな「ネコの王」ですがもし2巻も手に入れた時にはまた感想を書きます。

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